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【対談】

2017年5月3日

自動運転自動車(ドライバーレス:レベル5)によるレース開催について、「TAKA+」さんと「事務局代表」が対談しました。

TAKA+」さんは、日本の製造業のファクトリー・オートメーション(FA)を支えている、検査システムを製作するメーカーで永年、制御スペシャリストの技術者として高い評価を受けておられる方であり、また個人としてスポーツカーとスポーツドライビングテクニックに関して深い造詣を有する方です。

事務局代表」は永年、メーカーの社員で営業職として勤務するかたわら、1974年から1979年までプライベート・レーシング・チームのオーナー兼ドライバーとして活動し、1979年に「日本のレースをリードする216人のドライバー」に選ばれました。


 

事務局
 「自動運転自動車レース協会」のサイトを御覧になった御感想をお聞かせいただけますか。

TAKA+
  「自動運転自動車レース協会」なるサイトを開いてみました。
フォーミュラーレースや、スポーツカーレースは先端技術を市販車に展開する役割を果たしています。
自動運転車によるレースがあれば同様に、自動運転技術を高めることに大いに貢献するに違いありません。
先端的発想であり、近い将来、一般化するかもしれません。
ただ、自動車レースはモータスポーツと呼ばれるように究極の走りを演じるのは人間であって一般のスポーツのように人々が競いあうところに人々は魅せられます。

事務局
 実際にレースをした者として、「究極の走りを演じるのは人間であって一般のスポーツのように人々が競いあうところに人々は魅せられます。」ここはまさに核心と私も思います。

TAKA+
 自動運転車によるレースの場合プログラミング技術を競うことになり観戦する対象として今一つ物足りないかもしれません。

事務局
 観戦する対象としての魅力については、将来AIなどやその他のテクノロジーが急速に革新されていく中で観戦者の心理がどう変っていくのかは未だ判りません。
今、チェスや囲碁、将棋の世界でAIが最高クラスの人間のスキルを超えようとしていますが、人間がAIにたちうちできなくなった時も観戦者は人間の勝負に魅かれるのでしょうか?
自分自身が勝負をする者として競技する魅力はあり続けると思いますが、例えばレーシングカートというモータースポーツの原点の様なレースは、最高のテクノロジーを惜しみなくつぎ込んだF−1レースの様に観戦者を魅きつけてはいません。
何故?でしょう。

TAKA+
 自動車レースにおいて究極の走りを演ずるドライバが競いあうところに人々は魅せられますが、その前提として、究極のクルマがあることは認識しています。
若かりし頃、日本グランプリレースでポルシェ、ニッサンR381、トヨタ7が競った頃、ドライバよりクルマの性能に魅せられていたことは事実です。
ル・マンレースでマツダ車が優勝したころもまたしかりです。
F−1レースを見ていた頃は、レギュレーションによりマシンの違いは抑えられていたように思われましたのでドライバの技量に注目していました。

事務局
 最近のF−1でメルセデスは圧倒的なパフォーマンスを見せていますが、それはドライバーの力量によって決定付けられているでしょうか?
F−1の世界でもワールド・ドライバーズ・チャンピオンシップは、実はコンストラクターズ・チャンピオンシップに依る要素が大きいと思います。
さて、将来自動運転自動車(レーシングカー)が有人のF−1にレースで勝つことが現実となる時がくると思いますが、その時、観戦者の興味はどこに向くでしょうか?

TAKA+
 自動車レースの世界は、自分の所有する自動車の世界とは別と考えます。
自動車レースは技術レベルの追求であり、一般的には見る側からすれば一種の憧れです。
自分の所有する自動車は、それぞれの価値観で市販車を比較し選択します。

事務局
 自動車の所有者には自分の所有する自動車が他人の所有する自動車より、より優れているという確信によって満足する人々も相当数存在します。
その人々にとってレースで勝った自動運転自動車を手に入れたいという願望は強いものと思います。
その思いは自動運転自動車レースを熱心に観戦する強い動機付けとなりうると思います。
なにしろ、すでに全盛期に比べ著しく劣った運転技能の私自身が、規制の少ない競技車両規則によって自由に造られた高性能な自動運転自動車(レーシングカー)のレースをぜひ観戦したいという強い希望を持っています。

TAKA+
 自動運転車によるレースは、有人車と競うというよりは同じ自動運転車同士での技術レベルの切磋琢磨ということになると思われます。
無人で競うレースですから、観戦するに値する今までにない何か新しい魅力を付加することが必要と思われます。
しかし、それにより自動運転技術が著しく向上し、市販車に応用されることにより自動運転車の普及を加速させるに違いありません。

事務局
 本日は、お忙しい中お時間を割いていただいて貴重な御意見を頂き、ありがとうございました。
今後とも御指導御鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。